
福岡県大川市は家具の産地として知られてきたが、最近は不況色が強い。 そうした中にあって、地元の木工会社およそ200社に材料を供給する問屋、熊井産業では、 単なる材料を注文に応じて供給するのではなく、 強い営業力を武器に店舗改装や福祉施設建設といった仕事をまず取ってきてそこに必要な什器などを 木工会社に発注する姿勢で臨んでいる。不況を嘆くのではなく、自らの手で仕事を獲得する前向き経営で活路を招く。
産地の問屋機能生かしてブランドつくり
福岡県大川市は家具の町として知られる。
しかし住宅不況に加え、クローゼットなどの普及により箪笥などの需要は大きく減り、業者の倒産や廃業も続いた。
今後どんな分野の伸びが期待できるか考え地元の木工業界では対応を模索している。
内装材などの問屋である熊井産業の鵜川秀樹専務取締役は「既製品の家具はもちろん住宅内装も新設住宅の減少で厳しいですし、
これまでかろうじて需要を維持していたショッピングセンターなど商業施設向けも、新規物件が激減しています。
今後は病院や老人福祉施設など不況でも手堅い需要があるところをいち早く開拓していくしかありません」と話す。
鵜川さんは生き残りの決めては情報力と提案力だと力を込める。
「大川にはたくさんの木工所があり自他ともに認める技術力を誇る職人たちもまだまだいます。
ただ職人はとかく自分たちがこれまで培ってきたものにこだわり、
新しい時代の変化に対応することができにくい面があります。だからうちは世の中の変化をいち早く察知し、
新しい仕事を提案していかなければならないと思います」
熊井産業はこれまで他の問屋同様木工所からの注文を受けて、資材を販売するという言わば「御用聞き営業」だった。
これをどう変えてゆくかが今後の成長のカギと鵜川さんは考えた。
木工所からいわれるままにメーカーから仕入れた商品を売るのであれば、独自の付加価値をつけることは難しく、
ライバル問屋との安値競争にならざるを得ない。
資材を売るという発想ではなく、「仕事」が少なくなっている木工所に仕事自体を発注して加工製品を作ってもらい、
それを熊井産業が販売してあげられれば、熊井産業の存在価値は高まるはず、と鵜川さんは考えた。
鵜川さんは、設計・施工業者(建築家)との取引を意識して増やしてきた。
彼らはエンドユーザーに近く、「こんなイメージの店や家を作りたい」と漠然とした注文を出してくる場合が多い。
「これまでの御用聞き注文とは違い、漠然とした注文に対する対応を重ねていくと、自社自身の商品知識の向上に繋がり、
ライバル他社とは違うオリジナリティが発揮できる。今までの売り先(木工所)と違うニーズが見えてきて、
仕入先、得意先(木工所・加工屋)とタイアップして現場ニーズに応じた商品を作り、
クライアントが本当に欲しい商品を納める事が出来る。今後は、より一層、
取引先各社の特徴を組み合わせた「新商品」の開発をし、他社のマネ出来ない商品(商売)を増やしていきたい。
まさにこの企画力こそ問屋の生命線」と鵜川さんは強調する。
鵜川さんは積極的に営業をかけ商業施設のテナントのリニューアルや住宅リフォームなど
大手ゼネコンなどの守備範囲から漏れるような小さな仕事もとってきた上で、材料をメーカーに注文、
そして大川地区に200社ある取引先の木工所に加工を注文する。できた加工品をすぐに工事現場に送っている。
大川の木工団地のいわばコーディネーター役だと言っていい。
「木工所は作ることは得意でもあらたなマーケットを切り開くということはあまりやったことがありません。
その営業のアウトソーシングの役目をうちができたらいいなと思います」
地方産地に足りないのはこの営業力である。
大川が再び輝くか、まだ30代の鵜川さんにかかる期待は大きい。