西村晃の伝言板
2025-08-09
2025-08-09
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全国をくまなく回っていると、過疎で人通りも少なくなり店もほとんど残っていないという地域も少なくない。ただそれでもなお営業を続けている唯一と言ってもいい存在が郵便局である。
郵便離れが言われ、事業も赤字ではあるが、特定郵便局は周囲の商売が廃れてもなお生きているところが多い。
無駄で合理化すべきという議論もある。
しかし私はむしろ過疎の地の拠点として、もっと活用すべきではないかと考える。
郵便や貯金の業務の傍ら地域ニーズをくみ取った新規ビジネスに積極的に挑戦してはどうかということだ。
私の家からクルマで5分以上離れてはいるが、頻繁に利用する小さな郵便局がある。
郵便局は、空いていればどこでもいいと思うかもしれないが、ここは是非寄ってみたいと思うところで、ついついまとめ買いをしてしまうところなのだ。
前橋平和郵便局という。
まず驚くのは、地元の人の作品やコレクションを集めた絵画展などを窓口で開催している。昨日は、「終戦特集」を開催中だった。
終戦時の総理大臣鈴木貫太郎の直筆掛け軸の展示や肖像写真、玉音放送の全文などを壁に展示していた。
また缶飲料や地元産の野菜の販売、ここでしか売っていない絵葉書などついつい待ち時間に買ってしまうものも多い。先日はアマチュアが描いた前橋の絵葉書が展示販売されていて珍しいので10枚ほど買ってしまった。観光地でもないのに絵葉書を買うことなどほとんど経験がない。
専門のマーケティングを説く時、私の決まり文句は「マーケティングとは買う気のない人に買わせる知恵」であるが、まさにその通りのことを小さな郵便局がしていた。
出かけて楽しく、また行きたい、ほかの郵便局もあるけれど、あえてこの郵便局に行きたいと思わせる郵便局。
こんな郵便局ならもっと生活用品を置けば、店がなくなって困っているという地域の人々に喜ばれるに違いない。
最近は無人コンビニも増えている。
お客さんが困った時だけ郵便局員が手助けをするような「コンビニ併設型郵便局」があってもいいではないか。
「役所の窓口業務を代行する郵便局」も歓迎だ。
本来業務の減少で衰退を待つだけではなく、新しい郵便局の生き方を模索することを考えるべきだと思う。