【西村晃の大繁盛の法則】 企業塾 - 顧客満足度No.1


西村晃の伝言板

2025-11-26

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おまけ

黙っていてもお客さんの方が列を作ってくれるなら商売は楽だが、そんなことはほとんどあり得ないと考えるべきだろう。

値引きはもちろん、店頭でのデモンストレーションなど様々な販促の技があるが、「おまけ」というのもよくある手である。

「おまけ」とは辞書を開けば値引きすることに加えて商品の付録、あるいは景品を一緒に渡すことなどと定義される。商店街などで「○○円おまけするよ」とか「おまけで○○も付けちゃう」などというやり取りはよく耳にする。「おまけ」の語源から考えると、商売の場面で値段交渉をした結果として負けることが御負けということで、店側が折れて、妥協の結果客にトクをさせるということだろう。

ただ何の交渉もしていないのに、最初から「おまけ」が付加された状態で販売されている雑誌や菓子などもある。菓子にカードや玩具が付いた状態で売られるようになったのはグリコが最初に始めたことと言われている。グリコがおまけを付けて菓子を販売し始めたことで、子供向けお菓子はおまけブームが起きたと言われる。その後、子供向けの雑誌にも付録が付くようになり女性誌などにも広がり、こんにちのポイントやマイルの付与という新たな手法へと広がった。

グリコのおまけは1922年(大正11年)と、戦前に始まる。

大阪で起業したグリコには先をゆく明治や森永という先発メーカーの存在があった。キャラメルという商品でどう大企業に対抗するか。創業者江崎利一はグリコーゲンを付加した栄養菓子ということから「ひとつぶ300メートル」というキャッチフレーズを作り「子供の二大楽しみ、食べることと遊ぶことを同時に満たす」という考えによりおまけを同梱したことで大ヒット商品となった。最初のおまけは「絵カード」でたちまち子供たちの人気となり子どもたちは争ってグリコを買った。1929年にはまめ玩具の入った小箱が登場、以後多様化してゆき現在までの累計は3万種類55億個になっている。1958年以降プラスティックの飛行機やクルマが登場、時代の進展にあったおまけが考案され、近年ではデジタル技術と融合しながらなお進化を続けている。

買う気のない人にどう買わせるか、商品そのものにも劣らない知恵が求められる。