西村晃の伝言板
2025-12-08
今回のインドセミナーでインドの高架鉄道の体験乗車は興味深かった。
「デリー・メトロ」は日本のODAの中でも最も大きな成功を収めた案件として知られている。総事業費1兆7377億円、その半分近い8251億円が日本の円借款で賄われた。
現在デリーのメトロは12路線286駅があり全長は381キロ、東京メトロと都営地下鉄を合わせたよりも長い。初乗り10ルピー(16円)で最高60ルピー(96円)と料金が安いこともあって利用者は多い。メトロと言うが地下鉄部分よりは道路上につくられた高架橋の上を走る区間が多い。テロの警戒が厳しいインドでは改札口で荷物と身体検査があり、朝のラッシュ時には大行列ができる。私たちは日中に乗ったので比較的スムーズ、駅にはエスカレーターなどの設備もあり日本とそん色はない。切符はプリペイドカードと紙のものがあり二次元バーコードを自動改札機にかざした。
「デリー・メトロ」は1日あたりの乗客数が約500万人に及び、世界最大級のメトロに成長している。女性に対する性犯罪なども多いインドなので、女性専用車両も設置され、女性の安全対策や社会進出にも貢献している。
「デリー・メトロ」は、インドの土木工事の文化だけでなく、インド社会の文化も変えた。
その1つの例は整列の文化である。切符売り場や改札では他と違い横入りする人がいない。また「デリー・メトロ」は市民の足になっており渋滞緩和にも大きく貢献している。それまでデリーの企業は社員送迎の貸切バスを手配する必要があったが、メトロのお陰で最寄りの駅まで来てもらってそこでピックアップできるようになった。
デリー以外にもバンガロール、チェンナイ、コルカタ、アーメダバード、ハイデラバードなど15の都市で全長810キロのメトロが運行され、加えて10の都市で約1000キロが建設中である。
数年以内にはインドのメトロの全長が中国とアメリカについで世界第3位になると予測されており、日本のODAに対するさらなる期待は大きい。
インドのメトロ技術も急速に進歩しこれまで海外に依存していた信号システムやメトロ車両の製造が内製化できるようになったほか無人運転も導入されている。