西村晃の伝言板
2025-10-04
NHKの「映像の世紀」という不定期の番組はしばしば考えさせられる貴重な映像を提供してくれる。20世紀という時代はフィルム映像により歴史の場面を後世に伝えることができる最初の時代だった。我々は映画での再現でもない限りナポレオン戦争や関ヶ原の戦いをリアル映像で知ることはないが、第一次世界大戦以降の戦いは映像記録を見ることはできるし、吉田茂のサンフランシスコ講和会議調印式もケネディ暗殺も人類初の月面着陸も動画で知っている。まさに映像の世紀は20世紀に始まる。
今回視聴したのは日本の戦後の荒廃から朝鮮動乱を経て高度成長に至るまでの記録だった。
まず戦後の日本は衛生状態や住環境などがまるで別の国ように感じられるほど今と異なっていた。満員電車の中でさえタバコを吸い、吸い殻は床にポイ捨て。トイレは汲み取り、し尿処理は海に廃棄か田畑の肥料、国鉄の列車のトイレは穴が開いて線路に垂れながし、踏切や沿線は「黄害問題」に悩まされた。
大気汚染、水質汚濁、通勤地獄に、住宅問題・・・。
たまたま今インド視察ツアーの準備をしているが、まさに今インドが抱えているような諸問題を昭和20年代30年代の日本は抱えていたことをあらためて感じた。汚かった東京を1964年東京オリンピックを目標に一新させる大運動を繰り広げた日本、インドは2036年のオリンピック招致に向けて新幹線の整備などを手掛けている。国の発展段階はどこか似通っているところがあると感じた。